教習車の車種は何がある?一般車との装備の違いについても解説

教習所での運転免許取得を考えている方にとって、それが四輪車であれ、二輪車であれ、どのような教習車で練習することになるのかは気になるポイントのひとつではないでしょうか。
実は、教習車は一般的な市販車の中から選ばれているわけではありません。教習所で使用される車両には法律で定められた明確な基準があり、そこに教習所側の実用的な理由も加わって、教習車の車種が選ばれているのです。
この記事では、一般的に教習所で使われている四輪・二輪それぞれの教習車の車種から、教習車の車種として選ばれる基準や理由、一般車との装備の違いまで、詳しく解説していきます。
教習車の一般的な車種
教習所や地域によって異なる場合もありますが、教習所で実際に運転する教習車は、四輪・二輪、それぞれ以下のような車種が選ばれることが一般的です。
四輪教習車の一般的な車種
●トヨタ教習車(トヨタカローラアクシオ)
「トヨタ教習車」は、教習生が安全に運転を学べるように工夫された、自動車教習所向けに開発された車です。
フロントガラスの端の柱を細くすることで、広く見やすい前方視界を実現。運転席前の計器板中央に車の中心がわかるマークを配置し、初めて運転する人でも車の位置感覚をつかみやすくしています。加えて、体格に合わせて運転姿勢を調整できる機能が備わっており、教習生が正しい姿勢で安全に運転を学べるよう配慮されています。
また、教習生のウインカーやブレーキ操作が確認できるランプや、後方の様子を見るための専用ミラーを標準で装備し、指導員が教習生を適切にサポートするための機能も充実させています。
その他、安全面を考慮した視認性の高いLEDの後部ランプや、急ブレーキ時に自動的に光り、後ろの車に注意を促す非常点滅灯の機能も備えているなど、教習環境の安全性を高める工夫が施されています。
参照:TOYOTA、新型の教習車を発売 | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト
●マツダ教習車(MAZDA2)
「マツダ教習車」は、教習生が運転操作に早く慣れ、安全運転に求められる技量を早く修得できることを目指して開発された、「人間中心」の開発思想に基づく自動車教習所専用モデルです。
エンジンは1.5Lのガソリンエンジンを使い、手動の6段変速ギアか自動の6段変速ギアのどちらかを選べます。これにより、運転操作に対するスムーズな反応と快適な走行性能を実現。また、小型の車体(最小回転半径:4.7m)なので、初めて運転する人でも車の大きさや周りの状況がつかみやすくなっています。
さらに、走行性能面では、発進から高速走行まで安定した走りを実現する独自システムを搭載。初心者でも安心して運転ができるようサポートしてくれます。
車内は「人間中心」の開発思想に基づき、自然な姿勢で操作できるようペダルを配置。アクセル操作時にかかとが安定し、速度調整がしやすいペダルを採用しています。ハンドルの高さと前後位置を調整できる機能も標準で備え、どんな体型の人でも操作しやすく、疲れにくい運転姿勢をとれるよう設計されています。
シートや足回りの配置を見直すことで、長時間の教習でも疲れにくい指導員席を備えており、教習生の運転のしやすさだけでなく、指導員の教習の質を高めるための工夫もされています。
参照:新型「マツダ教習車」を発表|MAZDA NEWSROOM
●ホンダ グレイス(教習車仕様)
「ホンダグレイス(教習車仕様)」は、小型の車体でありながら広い室内と高級感のある見た目を兼ね備えた、自動車教習所向けに作られたホンダの教習車です。
力強い走りと環境性能を両立した1.5Lのガソリンエンジンを搭載しており、トランスミッションは、「自動変速」と「手動5段変速」の2種類から選べます。小さめの車体サイズのため、初めて運転する人でも車の感覚をつかみやすく、運転しやすい取り回しの良さを実現。運転席の高さを調整できる機能や、ハンドルの角度と前後位置を調整できる機能を備えており、教習生が自分に合った正しい運転姿勢を身につけられるように設計されています。
さらに、教習指導員が長時間座っていても疲れにくい座席や、使いやすい補助ブレーキとフットレスト、教習生の誤操作を防ぐ「教習指導員用4席パワーウインドウスイッチ」などが装備され、指導員が教えやすく、教習をスムーズに行える工夫が施されています。
参照:コンパクトセダン「GRACE(グレイス)」に教習車を設定し発売 | Honda 企業情報サイト
二輪(バイク)教習車の一般的な車種
二輪車は排気量によって大型、小型などに分類されています。二輪車の排気量別教習車の主な車種は以下の通りです。
●大型自動二輪車(400cc超)|ホンダ NC750L(教習車仕様)
Hondaが自動車教習所向けに発売している「NC750L(MT教習車仕様)」と「NC750L(AT教習車仕様)」は、二輪市場の活性化を目的に、「大型二輪免許」および「AT限定大型二輪免許」の教習車として開発された自動車教習所専用モデルです。
市販ロードスポーツモデル「NC750X」をベースに、二輪教習に適した特殊装備が付加されており、教習時の頻繁な使用を考慮して、極低速域での操作性や低中速域での扱いやすさ、取り回しのよさに配慮した変更が施されています。
具体的な仕様変更として、車体への転倒ダメージを軽減させるバンパー類や、教習生の運転状況を教習指導員へ視覚的に伝える「表示ランプ」が装備されているのが特徴です。カラーリングは、夜間の教習時にも車両の挙動を確認しやすいパールグレアホワイトです。
参照:大型二輪教習車「NC750L(MT教習車仕様)」とAT限定大型二輪教習車「NC750L(AT教習車仕様)」を自動車教習所向けに発売 | Honda 企業情報サイト
●小型限定普通二輪(125cc以下)|ホンダ CB125F(教習車仕様)
「CB125F 教習車仕様」は、欧州で販売されている「CB125F」をベースに、国内の二輪教習に適した特殊装備を備えた自動車教習所専用モデルです。
エンジンは、発進・停止のしやすさに配慮した低速での粘り強い出力特性と、扱いやすい変速比配分の5速マニュアルトランスミッションを採用しています。また、コンパクトな車体により、教習生が扱いやすいように設計されています。
転倒時の車両破損や損傷を軽減する大型のサイドバンパーが前後に装備され、走行速度やブレーキ操作、エンジン停止状況などを教習指導員に視覚的に伝える、教習用の表示ランプも車体前後に搭載されています。
さらに、ギアポジションインジケーター(現在の走行しているギア数を知らせてくれる機能)がメーターパネルに採用されており、マニュアルトランスミッションの操作が初めての教習生でも、選択したギアを確認しやすく設計されています。
参照:小型限定普通二輪教習車「CB125F 教習車仕様」を自動車教習所向けに発売 | Honda 企業情報サイト
教習車の車種として選ばれる基準や理由
教習車は、道路交通法施行規則に基づいて警視庁の定めた「運転免許技能試験実施基準」の中にある車両基準によって、細かい車種や車体の寸法などが決められています。この基準を満たした車両でないと試験では使えず、教習所の卒業検定で使われる車両にも適用されています。
【教習車の車両基準】
・乗車定員5人以上の普通自動車であること
・全長4.4m以上
・全幅1.69m以上
・ホイールベース(最遠軸距)2.5m以上
・トレッド(輪距)1.3m以上
参照: 旅客自動車教習所の教習車両の基準(資料)|警視庁
これらの基準はただ大きければいいということではなく、教習生が基本的な車両感覚を身につけるのに適した大きさとして定められています。あまりに小さい車では実際の運転に必要な車両感覚が身につかず、逆に大きすぎると初心者には扱いづらいためです。
また、「規則として定められた基準」以外で、教習所側が教習車の車種を選定する際の理由としては、以下のようなことが挙げられます。
【教習所側が教習車の車種を選定する際の理由】
1.耐久性が高いこと
頻繁に使用され、多くの初心者が運転するため、故障しにくく修理費用が抑えられる車種が好まれます。
2.操作性の良さ
クラッチやブレーキの操作感、ハンドリングなど、初心者でも扱いやすい特性を持つ車が選ばれます。
3.視界の良さ
初心者が周囲の状況を把握しやすいよう、視界が広く死角の少ない車種が重視されます。
4.安定した走行性能
急なハンドル操作や急ブレーキ時でも安定した挙動を示す車が選ばれます。
5.メンテナンスのしやすさ
部品の入手や修理がしやすい国産車が多く採用される理由でもあります。
これらの理由以外にも、教習所の地域性(雪国では4WD車の採用など)が教習車の車種選びに反映されることがあります。また、二輪車に関しても同様で、初心者が安全に操作できる安定性と適切な出力特性を持ち、かつ耐久性に優れた車種が、教習車として選ばれる傾向にあります。
一般車と教習車専用車種の違い
教習車は見た目こそ一般的な市販車と似ていますが、四輪車・二輪車ともに、教習に適した特別な装備や仕様が施されています。
教習車専用の四輪車種の場合
教習車専用の四輪車種が持つ一般車な車両との装備・仕様の主な違いは以下の通りです。
〇補助ブレーキ
教習車に必ず装備されている最も重要な安全装置で、助手席に設置され、指導員が緊急時に操作できるブレーキペダルです。油圧式で、運転席と助手席のブレーキは同じ油圧系統を使用しており、どちらか一方を踏むともう一方は踏めなくなる仕組みになっています。
〇補助ミラー
教習中に指導員も周囲の状況を確認できるよう、車内に追加のルームミラーが設置されています。また、フェンダーミラーやドアミラー上部には指導員用のアウトサイドミラーが追加されていることも多いです。
〇表示装置
運転席のインストゥルメントパネル(運転席前面の計器盤)周辺には、方向指示器やブレーキランプに連動するインジケーターランプが装備されています。また、助手席側から確認できるように、運転席側からは見えない位置にデジタル式速度計が設置されていることもあります。
〇「仮免許 練習中」表示用のホルダー
教習所によっては常時装着、または路上教習時のみ装着するケースがあります。
また、一般車両に搭載されていても、逆に教習車専用の四輪車種では搭載されていない場合のある、以下のような装備や仕様も存在します。
【教習車専用の四輪車種には搭載されていない装備や仕様】
・アイドリングストップ機能
・坂道発進アシスト
・一部の先進運転支援システム(ADAS)
これらは非常に便利な機能ではありますが、教習生が基本的な運転操作をしっかりと身につけられるように配慮された結果、教習車専用の四輪車種にこういった機能は搭載されていません。近年では先進的な運転支援機能が増えていますが、あくまで教習の目的は基本操作の習得にあるため、こうした機能に頼らない運転技術の習得が重視されています。
教習車専用の二輪(バイク)車種の場合
教習車専用の二輪(バイク)車種は、以下のような、四輪車とはまた違った特徴的な装備や仕様を備えています。これは指導員が同乗できないという二輪車ならではの事情によるものです。
〇操作状態インジケーターランプ
指導員が外から教習生の操作状態を確認できるよう、前・後ブレーキ、ギアポジション、車速などを表示するランプが装備されています。この装備により、指導員は教習生が適切なタイミングでブレーキやギアチェンジを行っているかを確認できます。
〇大型エンジンガード
初心者の転倒時にバイク本体へのダメージを最小限に抑えるため、通常のバイクよりも大型で頑丈なエンジンガードが装着されています。
〇マフラーガード
転倒時のマフラー損傷を防ぐための特殊なガードも装備されています。
〇その他の保護部品
レバーやペダル、ステップなど、転倒で損傷しやすい部分にも特別な保護装置が施されています。
〇出力調整されたエンジン
市販モデルと比較して出力を抑えた特別仕様のエンジンを搭載していることが多いです。これは、初心者でも扱いやすく安全に運転できるようにするための配慮です。
指導員が同乗することのできない二輪(バイク)教習車でも、これらの特殊装備や仕様によって、初心者が安全にバイク操作を学べる環境をサポートしています。ただし、安全性は高い一方で、教習所で使用される二輪車は基本的な操作技術を習得するための特殊な仕様であるため、免許取得後に乗る一般車両の二輪車とは操作感や出力特性が異なる場合があることも覚えておくとよいでしょう。
外車が教習車の車種として選ばれることはある?
多くの教習所では国産車が教習車として採用されていますが、実は外車(輸入車)を教習車として導入している教習所も存在します。外車を教習車として採用する背景には、他の教習所との差別化を図り受講生を増やす狙いがあるとされており、外車の中でも特に多く採用されているのは『BMW』で、中には『メルセデス・ベンツ』を導入している教習所もあるようです。
車種にもよりますが、受講生の立場から見た「外車教習車を運転をする一番のメリット」は、高速道路や一般公道での走行安定性の高さにあります。
一方で、デメリットとして、国産車と外車ではアクセルやブレーキなどのペダル操作感や踏み込みの重さが異なっていたり、ウインカーレバーの位置が国産車とは逆に配置されていたりということもあり、最初は運転に戸惑うことがあるかもしれません。
とはいえ、普段乗る機会の少ないBMWやベンツといった高級外車に乗れるという経験は、特に車好きな受講生にとって楽しみの一つになることは間違いありません。そういった楽しみを基準に教習所を探してみるのも、一つの選択肢と言えるでしょう。
まとめ|教習所で運転できる教習車の車種もチェックしてみよう!
教習車は、「一般車とは異なる特別な装備を備えている」という点では共通していますが、教習所によって採用している教習車の車種はさまざまです。
将来運転したい車種に近い教習車で練習できれば、免許取得後のスムーズな安全運転にもつながります。特に二輪(バイク)免許の場合は、大型・小型などの排気量によって車種が違うため、自分の希望に合った二輪(バイク)教習車を扱う教習所を選ぶ必要があるでしょう。
一方で、「せっかくだから思い出に残る経験をしてみたい!」と考えている方は、外車の取り扱いがあるような「特別な経験のできる」教習所を選択してみるのも一つの選択肢かもしれません。
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