合宿免許と通学教習のどちらで免許を取るべき?費用の違いと注意点
自動車免許を取るには、自動車教習所に通って運転に関する知識や技術を身につけるのがもっとも一般的な方法です。自動車教習所に通うことで運転免許センターでの本免技能試験(実際に自動車を運転する試験)が免除になり、学科試験に合格するだけで運転免許を取得することができます。自動車教習所には大きく分けて「合宿免許」と「通学教習」とがあり、どちらを選択しても学ぶ内容に違いはありません。しかし、教習スタイルは大きく異なり、それぞれにメリットやデメリットがあります。合宿免許と通学教習の違いについて解説していきます。
合宿免許と通学教習の費用の違い
自動車免許を取得するには、基本的に自動車教習所に通う必要があります。しかし、自動車教習所にかかる費用は決して安くはありません。「できるだけ安く教習を受けたい」と考える人は少なくないでしょう。教習所のシステムは、大きく分けると泊まり込んで教習を受ける短期集中型の「合宿免許」と、都合のいい時間に自宅から通う自由度の高い「通学教習」の2種類です。合宿免許と通学教習には、通学形態の違いのほかにかかる費用にも違いがあります。合宿免許では約20万円、通学教習では約30万円の費用がかかってきます。
合宿免許の価格が安いのにはきちんと理由があります。まず「教習所側がスケジュールやカリキュラムを管理しやすい」ことがあげられるでしょう。通学教習の場合、教習生は自分で受講する時間を選択して教習を進めていきます。そのため、教習生の都合しだいでは技能教習を行う指導員の手が空いてしまうことも考えられます。しかし合宿免許では、教習生のスケジュールをあらかじめ決めておくことができ、設備や人員をフルに活用できるというわけです。
また、回転率が高いのも価格が安くなるポイントです。合宿免許の教習生が自動車教習所に通うのは、2週間から3週間程度の短い期間のみです。通学教習では、これほど早く教習を修了させる人はまれでしょう。大勢の教習生が途切れることなく入校して短期間で卒業していくため、価格を抑えることが可能になっているというわけです。そのほか、立地にも価格が安い理由があります。合宿免許を実施している教習所は地方にあることが多く、施設そのものの維持費が抑えられるため、教習費用も安くなっているというわけです。合宿免許が通学教習より安いといっても、教習の内容は変わりません。免許取得にかかる費用を抑えたいのであれば、合宿免許で教習所を卒業することを目指すといいでしょう。
合宿免許を選択するメリット
合宿免許では、教習所が指定する寮やホテルなどの宿泊施設に泊まり込み、その間にすべての学科教習と実技教習を修了させることになります。入校日から卒業までのスケジュールがあらかじめ決められているため、無駄なく効率的に学ぶことが可能です。免許取得にかかる日数は、AT(オートマチック車)コースで14日間から、MT(マニュアル車)コースで16日間からとなっています。ATとMTで日数が異なっているのは、技能教習の必要時限数が異なっているためです。ATの技能教習が31時限なのに対し、MTは34時限と、3時限の差があります。実際に自動車を運転する技能教習は、1日のうちに受けられる時限数が制限されているため、この部分でかかる日数に差が出てくるというわけです。
合宿免許がスタートすると、ほぼ毎日のように学科教習と実技教習を受けることになります。短期間で集中して学習することになるので、学科の内容や運転の仕方を忘れてしまうことを防ぐことができるでしょう。決められたスケジュールを次から次へとこなすのは大変ではありますが、合宿免許では周りも自分と同じように免許取得に向けて学んでいる人ばかりです。自然と仲間意識も生まれ、がんばれるのではないでしょうか。
合宿教習では遠方の地方にある教習所に行くことが多く、勉強がおろそかになってしまうような誘惑もほとんどありません。日常生活から離れ、自動車免許取得のための勉強に集中できるのも大きなメリットといえるでしょう。見知らぬ土地で旅行気分を味わうこともできます。また、合宿免許にかかる費用の中には教習料金のほかに宿泊費も含まれています。あわせて食費も込みとなっている場合が多く、合宿中の生活について心配する必要はありません。2週間から3週間程度の宿泊費や食費が込みでも通学教習より費用が安く、総合的に見ても割安だということがわかります。
通学教習を選択するメリット
通学教習では、日常生活を送りながら自動車教習所に通って免許取得のための勉強をすることになります。合宿免許では最短でも2週間程度は自宅を離れる必要がありますが、通学教習であればライフスタイルに合わせて自分自身でスケジュールを組み立てることが可能です。「アルバイトや仕事が休めない」「小さな子どもがいる」「ペットが心配」など、自宅を離れられない理由がある人は通学教習を選択するといいでしょう。通学教習では、「学校や仕事が終わったあとに1時限だけ受ける」「平日は忙しいので土日を中心に受講する」など、無理のないペースで教習を進めることができます。
通学教習の場合、入校から卒業までにかかる期間は平均して3カ月ほどです。通える教習所が複数あるときは、好みの教習所を選ぶことができます。学校や仕事の帰りに通いたいのであれば、学校や職場の近くの教習所を選ぶという方法もあります。通学教習の場合は通いやすさも重要なポイントですので、通学ルートなども考慮して教習所を選ぶといいでしょう。自分の生活リズムを崩すことなく教習を受けられるのが、通学教習のメリットです。
免許取得の費用を抑えるポイント
教習所に通うには費用がかかるため、教習費用をなるべく抑えたいと考える人は少なくないのではないでしょうか。費用面を重視するのであれば、合宿免許を選んだほうがいいでしょう。通学教習との料金差は数万円から10万円以上になることもあります。また、教習所の料金は教習を受ける時期によっても変わってきます。春休み、夏休み、冬休みといった学校の長期休暇は混み合うため、どこの教習所もほぼ値引きを行っていません。逆に4月から7月、10月から12月といった閑散期には、通常よりも料金を下げていることが多いのです。リーズナブルに教習を受けたいのであれば、この時期を狙って入校しましょう。
合宿免許では、宿泊施設の種類や食事に有無によって価格が変わることが多いのも特徴です。中には、料金が割安の自炊できるプランを提供しているところもあります。教習以外の部分から価格を抑えられることもあるので、自分の希望に適う教習所を探すことが大切です。また、教習所によってはお得なキャンペーンや割引サービスを実施していることがあるので、それを活用することでさらに費用を抑えられます。割引サービスには、指定日までに早めに申し込むだけの「早割」、学生限定の「学割」、友だちと一緒に申し込むことで適用される「ぐる割」(グループ割引)などがあります。
合宿免許に仲のいい友だちと行くという人は少なくありません。遠方の合宿先に見知った顔があるのは心強く、和気あいあいと合宿を楽しみながら教習を受けられます。「ぐる割」はそんなときに活用できる割引サービスです。「早割」は、割引に加え定員が埋まってしまう前に早めに申し込みができることもメリットです。そのほか、誕生日月に入校することで適用される「誕生月割」、岩手・福島両県の指定校のみで使える「がんばろう割」などがあります。割引サービスを上手に活用して、お得に免許を取得しましょう。
必ずかかる費用も押さえておこう
免許を取得するためには、教習所に支払う以外にも費用がかかってくることを覚えておきましょう。教習中に必要なのは、仮免許に関する手数料などです。2019年3月の時点では、仮免を取るための学科試験にかかる費用が1,700円、試験合格後に仮免を交付してもらうための費用が1,150円となっています。これらの費用は、教習所経由で運転免許センターに支払うものです。運転免許に関する手数料は改定されることがあり、年度をまたいだことで増額したり減額になったりする場合もあります。入校時に最新の情報をよく確認しておきましょう。
教習所を卒業すると、居住地の各都道府県にある運転免許センターで普通免許取得のための学科試験を受けます。これに合格すれば晴れて運転免許取得というわけですが、この試験を受けるにも手数料がかかってきます。試験を受けるための受験手数料が1,750円、合格後に免許を交付するための交付手数料が2,050円です。もし、試験に不合格となってしまった場合、再度受験するためにはもう一度受験料を支払わなくてはなりません。運転免許センターによっては、試験を1日に複数回受験できるところもあります。万が一のことを考え、費用も余裕を持って準備しておくといいでしょう。
合宿免許はスケジュール通りにこなすことが大切
合宿免許では、教習所を最短で卒業できるようにあらかじめスケジュールが組まれています。そのため、時間割り通りにカリキュラムをこなすことが何よりも重要です。教習が始まる時間や、学科教習なのか技能教習なのかを間違えないように、しっかりとチェックしておきましょう。もし、寝坊をしてしまったりうっかり忘れて教習に出席しなかったりすると全体のスケジュールに影響が出てしまいます。さらに、前日にお酒を飲み過ぎたせいで翌日まで酒気が抜けず、教習ができなくなってしまうなどのトラブルもないとはいえません。教習期間中は教習所のスケジュールを最優先に考える行動が必要です。また、合宿免許では飲酒そのものを禁止している施設もあります。
決められた時間割りどおりに教習を受けないと、そのぶんを別枠で受講しなくてはならなくなります。自動車教習所では、誰もが必要なカリキュラムを確実にこなす必要があるからです。もちろん、修了検定や仮免許学科試験といった試験にも合格しなくてはいけません。欠席や遅刻をしたために、補講や再試験のための追加費用が必要となる可能性もあります。さらに、卒業までの日数が延びてしまえば追加の宿泊費用がかかってくることもあるでしょう。余計な出費を抑えるためにも、合宿免許ではスケジュールを守ることがたいへん重要です。
通学教習はモチベーションを継続させよう
合宿免許は2~3週間というまとまった期間にわたって地元から離れる必要があります。学生なら夏休みや春休みなどの長期休暇を利用して合宿免許に参加することが可能でしょう。しかし、仕事をしている社会人は長期休暇を取ることが難しいケースも少なくありません。また、スケジュール通りに教習が進まなかったり検定に不合格になったりすると、滞在日程が延びて当初の予定通りに帰宅できない場合があります。合宿免許の後に大切な予定を入れていた場合は、泣く泣く予定をキャンセルせざるを得ない状況になるかもしれません。仕事を休んで合宿免許に参加した場合、予定通りに帰宅できないと勤務先に迷惑をかけてしまうことになります。合宿免許に参加する際には、予定しているスケジュールにプラスして、日程の余裕を見ておくことが必要です。その余裕がない場合は、参加することが難しいといえるでしょう。
重視したい点によって合宿免許か通学教習を選ぼう
合宿免許は、効率良く短期間で費用も安く運転免許を取得できる点がメリットである反面、まとまった休暇が取れないと参加が難しい点などがデメリットです。自分が何を重視したいかによって何を選ぶべきかが変わります。合宿免許のメリットとデメリットを踏まえたうえで、合宿免許か通学教習のどちらか、自分に合う方法を選びましょう。
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