運転免許取得に必要な視力とは？合格基準や、不合格にならないための注意点を解説

運転免許を取得する際には、自動車教習所へ通うことが一般的です。教習所は、申し込んで費用を用意すれば誰でも入校できると思っている方もいるかもしれませんが、そうではありません。

教習所へ入校する時には「適性検査」というものを受けます。適性検査では、視力・聴力・色彩識別能力・運動能力を検査します。

今回はその中の視力検査について詳しくご紹介します。

 

 

免許取得に必要な視力の基準

運転免許の取得時に行われる視力検査の合格基準と、検査方法について紹介します。片目の視力が悪い（または見えない）場合でも、免許の種類によっては取得が可能です。それぞれの合格基準を確認していきましょう。

 

取得免許ごとの合格基準 

免許を取得するためには、視力も規定の数値を満たしていなければなりません。その数値は、免許の種類によって異なります。それぞれの基準数値は、以下のとおりです。

 

【原付免許、小型特殊免許】

「両眼で0.5以上」または「一眼が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.5以上」

 

【中型第一種免許（8トン限定中型）、準中型第一種（5トン限定準中型）、普通第一種免許、二輪免許、大型特殊免許、普通仮免許】

「両眼で0.7以上、かつ、一眼でそれぞれ0.3以上」または「一眼（片目）の視力が0.3に満たない方、若しくは一眼（片目）が見えない方については、他眼の視野が左右150度以上で、視力が0.7以上」

一般的な普通自動車免許の場合は、こちらの基準を満たした視力が必要です。

 

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【大型第一種免許、中型第一種免許（限定なし）、準中型第一種免許（限定なし）、けん引免許、第二種免許、大型仮免許、中型仮免許、準中型仮免許】

「両眼で0.8以上、かつ、一眼（片目）がそれぞれ0.5以上」

加えて、「三棹（さんかん）法の奥行知覚検査器により2.5メートルの距離で3回検査し、その平均誤差が2センチメートル以下」

三棹法については、後の「3.大型免許の場合は深視力検査が必要」で詳しく説明します。

 

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検査方法は一般的な「C」マークを使った方法

検査方法は、通常の視力検査と同じ方法で、「C」マークのあいている方向を指します（ランドルト環検査）。もし、片目の視力が基準に満たない（見えない）場合は、視野検査も行います。前述した基準を満たしていれば、視力検査は合格です。

 

大型免許の場合は深視力検査が必要

普通免許を取る際には必ず視力検査がありますが、前述の通り、大型免許やけん引免許などを取る時には、加えて「深視力検査」を行わなければなりません。

深視力検査とは、三棹法を用いて、遠近感や立体感をきちんと把握できるかを調べる検査です。3本の棒を使い、奥行きがどれくらい見えているかを測ります。2本の棒の間に、前後に動く棒が1本あり、動く棒が2本の間を通ったときに、検査器のボタンをすばやく押して棒を止めます。これを3回行い、平均誤差が±2センチ以内で合格です。

普通の視力検査とは異なる深視力検査は、乱視の場合に合格率が下がります。通常の視力検査はパスできても、この深視力検査で引っかかる人も多いようです。乱視用の眼鏡（またはコンタクト）の着用で合格できる確率は上がるため、持っていなければ作っておきましょう。

 

参考：免許の種類と視力等の基準|大阪府警本部

 

メガネやコンタクトを着用している場合は？

視力検査は、メガネやコンタクトを着用したままでも受けることができます。どちらで検査を受けても問題ありません。裸眼時に視力が悪くても、着用したうえで基準を満たしていれば合格です。ただし、メガネやコンタクトレンズを着用して合格した場合は、「眼鏡等」という条件が付けられます。

入校時に既に眼鏡を持っている場合や、コンタクトを着用している場合には、事前に申告しておく必要があります。教習所によっては入校手続きの段階で聞かれる場合もあり、その際には素直に申告しましょう。

「眼鏡等」の条件は、免許を取得した際に免許証の条件の部分に印字されます。この条件が付いているにも関わらず眼鏡やコンタクトを着用しないまま運転していると違反となりますので、注意してください。

もともと「眼鏡等」の条件が付いた免許証を持っている人が、レーシック手術を受けて視力を矯正していることもあるかもしれません。そういった場合、矯正後できるだけ早く最寄りの運転免許センターや警察署で「眼鏡等」の条件解除の手続きを行う必要があります。視力検査だけで手続きは終わるため、面倒臭がらずに必ず行うようにしてください。もし条件解除を行わないまま眼鏡をかけずに運転していた場合、違反になってしまう可能性があります。

 

もし視力検査で不合格になったら？

万が一基準視力に満たなかった場合、対応は教習所によっても異なりますが、基本的には眼鏡かコンタクトを作ることになります。作った後に再度検査を受け、基準を満たせば合格、教習所に入校できます。

片目だけ極端に視力が悪い（0.3未満）場合や片目だけ見えない場合もあります。そういった場合には、視野角度を確認する「視野検査」を受けることになります。視野角度の基準を満たしていれば、入校することが可能です。

合宿免許は、短い期間の中で効率よく免許を取得できることが魅力です。入校時の適性検査で不合格になってしまうと、再度検査を受ける必要があり、その後のスケジュールに影響を及ぼします。スムーズに免許を取得するためには、自分の視力が悪いという自覚がある人は事前に眼科を受診し、メガネやコンタクトを作っておいた方が良いでしょう。

 

視力検査に合格するためには

運転免許の視力検査に合格するためのコツをいくつかご紹介します。視力検査は体調や目の疲れが影響するため、少し工夫するだけでも結果が変わることがあります。

検査前に目をしっかり休める

視力検査の前日はしっかりと睡眠を取り、目の疲れを残さないようにしましょう。パソコンやスマートフォンを長時間使用すると目が疲れやすくなり、物が見えにくくなることがあります。検査当日も目を酷使する作業はできるだけ控え、目を休めておくことが効果的です。

目の乾燥を防ぐ

目が乾燥していると、かすんだり、見えにくかったりすることがあります。視力検査前に目薬をさして、目の潤いを保つことでクリアな視界を確保しましょう。合宿免許に行く際は、使い慣れた目薬を持っていくことがおすすめです。持ち物リストに加えておくと安心です。

不安な場合は眼科を受診

視力が基準に達していない場合やギリギリの方は、教習所に通う前に眼科を受診し、視力を調べてもらうと安心です。視力が落ちている場合は、視力に合わせたメガネやコンタクトを用意しておきましょう。直前になって「メガネが必要になった！」と焦らないように、早めに受診しましょう。

 

運転に必要な視力があるか、免許取得の前に確認を！

免許取得のための視力検査は、よほど視力が悪くない限りパスできます。また、たとえ視力が悪くても、眼鏡やコンタクトを着用していれば問題ありません。ただし、不合格になった場合は再検査を行い、合格しなければ教習所に入校することはできません。合宿免許では、初日に視力検査を含む適正検査を行うことが多いです。不合格になってしまうと、その後のスケジュールに遅れが出る恐れがあるので、事前に視力検査に合格できる視力があるか確認し、不安な場合はメガネやコンタクトを準備して合宿に挑みましょう。

 

運転中は、車両や信号、道路標識、歩行者や他の車など、さまざまな情報を瞬時に把握する必要があります。視力が不十分だと、これらの情報を見逃してしまう可能性があり、事故のリスクが高まります。免許取得後も、安全運転をするためには十分な視力が必要です。

視力検査は、5年ごとに行われる免許の更新手続きの際にも行われます。視力が下がったと思ったら眼科で検査を受けておくようにしましょう。