免許取り消しになったら?取り消しになる違反点数や、再取得までの期間・方法を解説。
もし免許が取り消しになっても、二度と運転できないわけではありません。もう一度免許を取り直すことによって、再び運転できるようになります。ただし、取得できない期間がルールで定められているので、注意が必要です。
もしも免許取り消しになった場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか?事前に理解しておけば、違反や事故に対し、より気をつけた運転を心がけられるでしょう。そこで今回は、免許取り消しになるケースと、再取得までの期間、方法について説明します。
免許取り消しとは?
免許取り消しは、交通違反の行政処分の中で最も重い処分です。免許取り消しとはどんな処分なのか、また、免許停止との違いについて解説します。
免許取り消しは行政処分であり、民事・刑事処分とは別
免許取り消しに関する知識を身に付けておくには、まず行政処分の一種であることを理解する必要があります。この行政処分は、都道府県の公安委員会が道路交通法に基づいて行うものです。事故の被害者に払う慰謝料や損害賠償金とは異なり、民事上の責任を負わせるのが目的ではありません。免許取り消しを、懲役刑や罰金と同じく刑事上の責任に関するものだと勘違いしている人もいるかもしれません。しかし、実際には該当しないため、この処分を受けただけでは経歴に前科は残りません。
このように、免許取り消しに関する責任は、あくまでも行政の範疇に限定されています。言い換えると、処分を受けても行政上の責任以外は果たせないので要注意です。事故や違反を起こしたドライバーは、別の形で民事上や刑事上の責任も負うことになります。つまり、個別にそれぞれ生じる責任のうちの一つだと認識しておきましょう。また、免許が効力を失うのは、運転免許取消処分書が発行された日です。処分が執行されると書面が発行され、欠格期間が進行し始めます。(欠格期間については後述の「免許を再取得できない【欠格期間】」で解説します)
その後は、いくら反省して待っていても、運転を許可する連絡が来ることはありません。もう一度運転できるようになるには、免許を再取得する必要があります。なお、運転免許取消処分書は、免許の失効を通知するだけの書面ではないので注意が必要です。免許を再取得する時に必要になるので、また運転するつもりなら捨てずに保管しておかなければなりません。
免許取り消しと免許停止の違いとは?
免許取り消しと免許停止は別の処分です。一定期間運転できなくなる点や行政処分である点は共通していますが、異なる点があることを理解しておきましょう。
免許取り消しとは、交通違反の繰り返しなどに対するペナルティとして、運転免許を没収する行政処分です。もちろん、執行されると自動車の運転は不可能になり、その状態で運転すると無免許運転になってしまいます。根本的に運転資格を失った状態であり、免許不携帯という扱いにはならないので注意してください。免許不携帯なら違反点数は加算されませんが、無免許運転の場合は厳しい罰則を受けることになります。交通違反に対する行政処分のなかで、免許取り消しはもっとも重く、最長で10年運転することができなくなります。
免許停止はそれと比べると、軽い行政処分となっています。免許停止は30~180日の間、免許の効力をなくす処分です。過去3年間の累積点数が一定の値に達することで執行されます。最長でも運転できないのは半年ほどなので、免許取り消しとは非常に大きな差があるといえます。
また、期間が終了した時の扱いが、両者はまったく異なります。免許取り消しの場合、期間が終了しても自動的に運転できるようにはなりません。取消処分者講習を受けたうえで免許を再取得する必要があります。一方、免許停止の場合はそのような必要はなく、一定期間が過ぎれば、免許は効力を取り戻すので、再び運転できるようになります。
どんな時に免許取り消しになる?
では、どのような場合に免許取り消し処分を受けるのでしょうか?免許取り消し処分は、運転中の違反行為によってつけられる違反点数が、一定の点数に達することで執行されます。
免許取り消しになる違反点数
大きな事故を起こすと免許が取り消されると思っている人もいるのではないでしょうか。たしかに、事故が小さい場合より可能性が高まりますが、処分が執行されるかどうかはその規模で決まるわけではありません。違反点数によって決定されるので、無事故でも、事故以外の違反が重なれば免許取り消しになることもあるのです。そのため、処分を受けないようにするには、道路交通法を守った運転を心がけるとともに、自分の違反点数を気にしておく必要があります。また、免許が取り消される違反点数は全員同じというわけではなく、前歴回数によって異なります。
前歴回数とは、文字どおり以前に処分を受けた回数を指します。ただし、運転を始めてからの期間ではなく、過去3年以内に受けた分が該当します。カウントする処分には、免許取り消しだけでなく免許停止も含まれます。前歴回数が増えるほど、少ない違反点数で処分が執行されやすくなることを覚えておきましょう。過去に処分されているにも関わらず、反省せずに違反を繰り返していれば悪質と見なされるからです。
前歴回数による、免許取り消される違反点数の定めは後述の「免許取り消しになったらどうなる?」で解説します。また、交通違反の種類と違反点数は、警視庁の「交通違反の点数一覧表」で、違反点数の計算方法は「点数計算の原則」確認することができます。
前歴回数が多い場合、軽い事故や違反でも、免許を取り消される場合があります。そのため、前歴回数が多い人ほど違反点数に過敏になるかもしれません。もちろん、常に安全運転を心がけることが重要ですが、前歴回数はリセットすることができます。その条件は、直近の行政処分が終了してから、事故や違反が1年間ないことです。これをクリアすれば、前歴回数はリセットされて0回に戻ります。
交通違反以外で取り消しになるケースも
交通違反によって違反点数が累積した場合だけでなく、身体的な問題によって免許取り消しの処分が下されることもあります。統合失調症やてんかん、そううつ病のような病気が発症した場合、正常な運転が困難であるということで、累積点数の有無や大小に関わらず対象になります。再発性の失神や無自覚性の低血糖、重度の眠気を招く睡眠障害などもそうです。その他にも脳卒中など、運転に支障をきたす病気が判明した場合は、免許を取り消されると考えておきましょう。
病気だけでなく障害が判明した場合も取り消される可能性があります。たとえば、失明によって運転に必要な視力を確保できなくなった場合や、両上肢の肘関節以上を欠損した場合なども、安全に運転できないということで取り消されてしまいます。また、アルコールや覚せい剤、麻薬の中毒者であることが発覚した時も同様です。病気や障害、中毒などは、本人を危険にさらすだけでなく、周囲を巻き込むリスクも大きいため、このような厳しい対応になっています。
しかし、これらの事由によって処分が執行された人は、再取得の負担の軽減措置を受けられる可能性があります。取り消された後に、病状の回復などによって再び取得できるようになった場合、学科試験と技能試験を免除してもらえるのです。ただし、処分を受けてから3年以内であることが条件となっています。3年を超えてしまった場合は免除されないので、他の理由で処分された人と同様に試験を受けなければなりません。
免許取り消しになったらどうなる?
免許取り消しになった場合、もう一度運転できるようになるには、免許を再取得する必要があります。しかし、処分が執行されると、一定期間免許を取得できなくなります。それが、免許を取得できない「欠格期間」です。また、その期間を決める「違反の種類」についても理解しておきましょう。
免許を再取得できない【欠格期間】
欠格期間とは、免許を取る資格を失った状態になる期間のことです。「免許を取り消されてもすぐに取り直せば良い」という安易な考えは通用しません。その間は、運転できないというペナルティを抱えたまま、生活や仕事をする必要があります。欠格期間は一律ではないので、処分を受けたら確認が必要です。最短で1年、長い場合は10年に及ぶこともあります。
欠格期間は前歴回数と累積点数によって決定します。ただし、違反の種類によって基準が異なるので注意が必要です。
欠格期間は【違反の種類】によって決まる
違反は、一般違反行為と特定違反行為の2つに分類されます。
【一般違反行為】
一般違反行為とは、信号無視や速度超過違反のような比較的軽微な違反行為です。他に、シートベルト着用義務違反や駐車違反などもこちらに含まれます。たとえば、前歴回数がない人の場合、累積点数が15~24点なら欠格期間は1年です。一般違反行為による欠格期間は、最長5年です。
行政処分の基準点数(一般違反行為)
前歴 |
欠落期間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
取消1年 | 取消2年 | 取消3年 | 取消4年 | 取消5年 | |
なし | 15~24点 | 25~34点 | 35~39点 | 40~44点 | 45点以上 |
1回 | 10~19点 | 20~29点 | 30~34点 | 35~39点 | 40以上 |
2回 | 5~14点 | 15~24点 | 25~29点 | 30~34点 | 35以上 |
3回以上 | 4~9点 | 10~19点 | 20~24点 | 25~29点 | 30点以上 |
【特定違反行為】
特定違反行為とは、自動車を使って故意に危害を加える運転殺傷のような重大な違反です。救護義務違反(ひき逃げ)や酒酔い運転(飲酒運転)、麻薬等運転、妨害運転、危険運転致死傷などが該当します。こちらの場合、前歴回数がない人でも、累積点数が35~39点なら3年の欠格期間が科せられます。特定違反行為による欠格期間は、最長の10年です。違反を一括りにせずに、このような違いがあることを理解しておきましょう。
行政処分の基準点数(特定違反行為)
前歴 | 欠落期間 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
取消3年 | 取消4年 | 取消5年 | 取消6年 | 取消7年 | 取消8年 | 取消9年 | 取消10年 | |
なし | 35~39点 | 40~44点 | 45~49点 | 50~54点 | 55~59点 | 60~64点 | 65~69点 | 70点以上 |
免許取消歴保有者(過去に違反行為等を理由として免許の取消し、拒否、事後取消しまたは6ヵ月以上の期間の運転禁止処分を受けた者)の場合、欠格期間は上記よりも1~2年延長されます。詳しい行政処分基準点数の取り決めは、警視庁の「行政処分基準点数」からご確認ください。
免許取り消し後、再取得するためには?
免許取り消しは、欠格期間を終えてもすぐに免許が復活するわけではなく、講習を受講し、試験に合格しなければなりません。ここでは、免許を再取得するまでの流れと、それぞれの段階に行うことについて解説します。
再取得までの流れ
まずは、免許取り消し処分を受けてから、再取得するまでのおおまかな流れを紹介します。
1.免許取り消し処分の執行・欠格期間
運転免許取消処分書が発行された日から免許が効力を失い、欠格期間が進行し始めます。この期間は運転をすることも、免許を再取得することもできません。
2.取消処分者講習を受講
2日間にわたる講習を受講し、取消処分者講習受講修了証を受け取ります。
講習は欠格期間の終了後と終了前のどちらでも受講可能です。ただし、修了証の有効期限は1年間です。この有効期限内に試験に合格する必要があるため、受講・再取得のスケジュールに注意しましょう。
3.「一発試験」または「教習所卒業後の試験」のどちらかの方法で試験に合格
再取得を目指す場合、取消処分者講習を受けた後のステップとして、一発試験を受ける方法と教習所に通う方法のどちらかを選択することになります。試験に合格することで免許を再取得することができます。
取消処分者講習とは?
欠格期間が終わったら、すぐに免許を再取得できるわけではありません。免許取り消しの処分を受けた人が再取得する場合は、試験の前に取消処分者講習を受講することが条件になります。取消処分者講習の目的は、免許を取り消しを受けた人に教育を施して、二度と違反行為を繰り返さないようにすることです。講習内容は、性格と運転に関する概説や危険予知運転の解説といったカリキュラムが組まれています。運転適性検査から実車講習まで幅広く、2日間(13時間)にわたって実施されるのが原則です。
取消処分者講習が終わると、取消処分者講習受講修了証の交付を受けられます。これにより、運転免許試験の受験資格が得られます。なお、取消処分者講習は各地の自動車学校や運転免許センターで行われているので、各自治体の警察ホームページで実施場所を確認しましょう。
取消処分者講習は、欠格期間の終了前・終了後のどちらでも受講可能です。そのため、少しでも早く運転を再開したいなら、終了前に受けておくと、免許の再取得がスムーズです。ただし、取消処分者講習受講修了証は1年間しか有効期間がない点に注意が必要です。時間的・経済的な事情により、再取得の目途が立っていないなら、受けても無駄になってしまう場合もあります。免許再取得までのスケジュールを立てたうえで、受講の時期を考えましょう。
方法① 一発試験
取消処分者講習を受けた後、再取得する方法の一つ目が、一発試験に合格することです。
一発試験を受けるメリットは、教習所に通わなくて済むことです。受験料と講習の費用は必要ですが、教習所に通う費用を払う必要がありません。また、教習所に通う時間も節約できるため、できるだけ再取得の費用と時間を抑えたい人は一発試験に挑むと良いでしょう。
しかし、一発試験はデメリットも大きいです。一発試験の技能試験は難易度が高く設定されているため、一発で合格できず、何度も受験しなければならない可能性があります。試験を担当するのは警察官ということもあり、普段より緊張してしまって実力を発揮できない人もいるでしょう。受験料を毎回払う必要があるので、受験回数が増えるほどに費用と時間がかかり、教習所を利用した場合と変わらなくなることもあるかもしれません。
方法② 教習所に通う
もう一つの方法が、教習所に通うことです。教習所に通うメリットは、時間と費用をかけさえすれば、基本的には再取得できるということです。一発試験に臨む時のようなハードルの高さやプレッシャーはありません。
デメリットは、初めて免許を取得した時と同じように、時間と費用がかかってしまうことです。そのため、時間とお金が惜しいと感じるかもしれません。しかし、教習所で改めて学び直すことで、安全運転に必要なスキルを再確認でき、結果的に一発試験よりも早く再取得することができるかもしれません。
また、教習所に通う際の注意点としては、教習所によって免許取り消し者が入校できるタイミングが異なることです。教習所ごとに「欠格期間中から入校できる」「欠格期間が満了してから申し込み」「欠格期間が満了してから入校」「免許取り消し歴がある人が入校できない」など、免許取り消し者に対する対応が異なります。再取得を急ぐ必要がある人は、通いたい教習所の費用やエリアだけでなく、「入校が可能か」「いつから入校できるか」をあらかじめ確認しておきましょう。
まとめ:合宿免許で再取得を目指そう!
免許取り消しの処分を受けると、再取得するためには時間と手間がかかります。そのため、免許取り消し処分を受けないよう、日頃から安全運転を心がける必要があります。
もし、免許取り消し処分を受けてしまった場合、一発試験で合格するのはとても難しいです。試験の不合格が続き、結局あきらめて教習所に通う人も珍しくありません。その場合は時間と費用が無駄になってしまうので、もう一度教習所に入校するのが一般的です。
「教習所に通うのは時間がかかる」「なるべく早く再取得したい」と考える人には、合宿免許がおすすめです。合宿免許は集中的に教習を受けるため、通学より短期間で再取得を目指せます。閑散期など時期を選べば費用も抑えやすいので、時間も費用も気になる人は、ぜひ合宿免許アイランドで、条件に合う合宿免許プランを見つけましょう!
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