初心者講習は受けなければならない?制度の概要と注意点
運転免許証を取得するには、さまざまな知識や技能などが求められます。そのため、運転免許を取得するにあたり、苦労する人も多いのです。多くの苦難を乗り越えて取得した運転免許証は、喜びもひとしおといえます。しかし、運転免許証は取得すれば、それで安心というわけではありません。運転免許証を取得した際には、「初心者講習」に注意しておく必要があります。初心者講習とは、一体どのようなものなのでしょうか。ここでは、初心者講習の概要や注意点について、詳しく解説します。
初心者講習の仕組みと対象となる免許の種類
そもそも、「初心者講習」とは一体どのようなものなのでしょうか。自動車免許を新規に取得した際、その後の1年間は「初心運転者期間」となります。この期間は「初心者マーク」を表示するよう、義務づけられているのが特徴です。たとえば、10月1日に自動車免許を取得した場合、翌年の10月1日までが、初心運転者期間となります。この自動車免許を取得してから1年間の初心運転者期間は、事故が多い傾向にあるといわれているため、注意が必要です。
さらに、事故だけではなく「スピード違反」や「二輪車の2人乗り」なども、初心運転者期間中に多くみられる違反として挙げられます。こうした事故・違反への対策として、1985年より設けられたのが「初心者講習(初心運転者講習)」という制度です。なお、制度の対象となるのは、「原付免許」「普通免許」、さらに「大型二輪免許」「普通二輪免許」となります。自動車免許を取得してから日が浅い人は事故を起こすケースが多くみられるため、死亡事故などの大きな事故を起こしてしまう前に、再講習が必要という趣旨のもとで指導が行われています。
違反点数3点以上は講習を受ける必要がある
初心者講習の概要について理解すると、「自分は講習を受ける対象なのかどうか」が気になる人もいるでしょう。初心者講習の対象となるのは、主に違反点数が1点または2点の違反をくり返し、「合計が3点以上」になった場合です。初心運転者期間中に、免許種別に対応している車種で違反または事故を起こし、合計が3点以上の場合は、公安委員会から講習を受けるように指示されます。また、1回の違反で3点がつく違反をしたうえで、さらに1点以上の違反をした場合や、1回の違反で4点以上となる違反をした場合も、同じように受講の対象となります。
なお、初心者講習は累積点数が基準を超えてしまっても、必ずしも受講しなければならないというルールはありません。受講しない場合であっても、引き続き運転することは可能です。ただし、きちんと初心者講習を受けなかった場合、「再試験該当者」として、試験を受けることになるため、注意が必要です。再試験を受験し、万が一不合格になってしまった場合は、該当の免許が取り消されてしまいます。こうした免許取り消しのリスクを避けるために、重要になるのが「初心者講習」なのです。この再試験は初心者講習を受験することによって免除され、いわゆる合格扱いにしてもらえます。
通知書が届いた場合の対応
初心運転者期間中に違反や事故などを起こし、自分が初心者講習の対象者である場合、どうしたらいいのか行動に悩んでしまう人もみられます。結論からいうと、初心者講習の対象者は自分からアクションを起こすのではなく、「通知書を待つ」必要があります。初心者講習の対象者には、自動的に「初心運転者講習通知書」が届く仕組みになっているため、心配いりません。なお、この通知書は公安委員会から送られてくるものであり、通知書が届いていない場合は受講条件を満たしておらず、対象者から外れていることになります。
なお、基本的には1度しか通知が行われないため、見逃さないように注意するのが大切です。通知書は、配達証明郵便で届くのが基本です。自宅のポストに届けられるわけではなく、郵便の配達員から直接手元に渡されることになります。不在で渡せなかった場合はポストに不在通知書が入っている場合があるため、初心者講習の対象者の可能性がある場合は、ポストの中身をよく確認するようにしましょう。また、不在通知が入っていた場合はそのままにせず、すぐに受け取るようにするのが肝心です。
通知書には、初心者講習の対象となる免許の種別や、違反・事故についての点数が記載されています。通知書が届いたらすぐに中身を確認し、それぞれの内容に間違いがないかどうかをよく確認するのが大切です。通常であれば、通知書は違反点数が基準に達してから、おおむね「1カ月前後」で届くとされています。しかし、地域によって条件が異なり、1カ月を経過しても通知書が届かない可能性もあります。通知書を待っていたものの、届かないからといって放置するのは避けたほうが無難です。
なかには、住所変更をしておらず自宅に通知が届かなかったり、いつの間にか家族が受け取っていて通知を紛失していたりするケースもあります。1カ月を過ぎても通知が届かない場合は、問い合わせをしてみるのが大切です。なお、初心者講習の受講可能期間は、通知書を受け取った翌日から起算して、「1カ月後の特定日まで」となっています。受講期間が1カ月という短期間に設定されているのは、違反や事故などを起こした人に、早急に安全な運転のための知識・技能を身に付けてほしいという目的によるものです。
1カ月という期間は意識していないとすぐに過ぎ去ってしまうため、通知が届いたらスケジュール管理に注意しましょう。ただし、1カ月の期間内に正当な理由があり、どうしても受講できないという場合は、受講期間の延長が認められる場合があります。具体的には、「海外旅行や傷病」「点数を6点引かれて免許停止になっている」「災害」などの理由です。ただし、これらの理由について、きちんと説明できるというのが条件になります。海外旅行の場合は、その証明として出入国記録のスタンプが押印されたパスポートを提示する必要があるため、要注意です。
ただ、自動化ゲートなどを利用して海外旅行をした場合は、パスポートにスタンプが押印されていないケースもみられます。このような場合は、法務局から出入国記録を取得する必要があります。また、通知は届いたら可能な限りスピーディーに申し込みをして、受講するのが肝心です。万が一、申し込みが遅れてしまった場合、受講できないおそれがあります。それに、時期によってはほかの受講者の申し込みが多く、予約が混んでいるケースもみられます。
教習所によって初心者運転講習を行う頻度は異なり、なかには週に数回など、実施回数が限られている場合があるため要注意です。特に、土日祝日などに行われる講習は人気が集中しやすく、早めに申し込みをしないと、希望する場所や日時の受講が難しくなる場合があります。このような理由により、通知書が届いたら、なるべく早い段階で行動に移すのが大切なのです。
講習で必要となる持ち物と受講場所
初心者講習を受講する際は、持ち物に気をつける必要があります。講習を受ける当日の持ち物は、主に「通知書」「該当する免許証」「筆記用具」などです。それに加えて、「印鑑」や「受講手数料」も必要です。視力が悪い人は、メガネやコンタクトレンズなども忘れないようにしましょう。原付や二輪車の講習を受ける場合は、必要に応じて手袋・ヘルメット・雨具などを用意するのも大切です。当日の持ち物は通知書に記載があるため、受講の前に確認しておくと安心です。
準備を怠って講習当日に焦ることのないよう、あらかじめ持ち物をきちんと用意しておきましょう。また、講習を受ける際は、服装にも気を配る必要があります。服装は必ず「これを着用しなければならない」というような細かいルールは設けられていませんが、「運転に適した服装」を選ぶのが基本です。たとえば、和服・サンダル・ハイヒールといった服装は、運転に影響をおよぼすおそれがあるため、着用を避けるのが無難です。原付や二輪車の講習を受ける場合は、長袖や長ズボンなどを着用すると良いでしょう。また、受講するにあたり、気になる人も多いのが受講場所です。
通知書には持ち物に加えて、受講日と受講する自動車学校が記載されています。受講場所は、住所地の都道府県内の自動車教習所になるのが一般的です。ただ、受講場所は公安委員会が直接指定する場合もあれば、任意で受講場所を選択する場合もあります。どこで受講することになるのか、通知が届いたらしっかりと内容を確認しておきましょう。なお、受講期限は1カ月と短期間であるため、日時や場所の変更は基本的に難しいといわれています。そのため、可能な限り指定に従うのが無難です。万が一、やむを得ない事情で「どうしても日時・場所を変更したい」という場合は、通知書に記載されている連絡先に相談してみるのも一案です。
講習の受講にかかる費用と時間
初心者講習を受講する際、気になるのが「費用」と「所要時間」です。講習を受講するためにかかる費用は地域により異なるため、心配な場合は事前に確認しておくと良いでしょう。なお、おおまかな費用と所要時間の目安は、以下の通りとなります。まず、原付免許講習の場合は、講習費用が約1万円で、講習時間は約4時間となっています。
続いて、大型二輪免許講習・普通二輪免許講習の場合、講習費用が約2万円、講習時間が約7時間です。準中型免許講習・普通免許講習、8t限定中型免許講習・5t限定準中型免許講習の場合は、講習費用が約1万5,000円、講習時間が約7時間となります。
講習で実施される内容
いざ初心者講習を受けるとなると、どのようなことをするのか不安に思う人もいるでしょう。事前に講習で実施される内容を把握しておくと、気持ちにゆとりが生まれて、過度に緊張するのを避けられます。初心者講習では、主に「グループディスカッション」「実技の運転講習」「危険予測訓練」などが行われます。グループディスカッションでは、教官が違反履歴について質問を行い、その内容についてグループ内で話し合いをするというものです。
話し合いをしたあとは適性検査を受けたり、安全運転に関する映像を見て話し合ったりします。実技の運転講習では、教習内のコースと路上のコースを実際に運転するという内容です。教習所内のコースは主に運転技能の補正を目的としており、グループを作って教官の指示のもと、交代で走行することになります。路上のコースでは交代で運転を行い、運転をしない人は、運転者に対する評価を行うのです。危険予測訓練では、路上の運転講習での評価をもとに、教官から意見をもらいます。また、グループ内で良かった点や注意点などの話し合いも行われます。
再試験の注意点とポイント
初心者講習の通知が届いていても、参加が面倒という理由で受講を拒否するケースもみられます。万が一、初心者講習を受験しなかったり、初心運転者期間中に合計3点以上の違反をしたりした場合は、「再試験」となるため注意が必要です。なお、再試験の案内は、初心運転者期間が経過してから郵送される仕組みで、受験期間は通知書が届いてから1カ月以内となります。再試験の内容は、学科試験と実技試験のそれぞれをクリアする必要があります。なお、試験は免許取得時に受けたものと同等の内容・水準です。万が一、再試験に不合格になってしまうと、免許取消処分となります。
せっかく多大な費用と時間をかけて取得した運転免許を取り消されてしまうのは、非常にもったいないため注意が必要です。また、再試験の際に注意しなければならないのが、「交通手段」です。万が一、再試験当日に自分で車を運転して会場に出かけてしまうと、不合格となった場合に、車を運転して帰ることができなくなってしまいます。自宅までの帰り方や、運転できない車をどうするかなど、さまざまな問題が生じてしまうため要注意です。こうした車が運転できなくなるリスクに備えて、再試験の会場へは、電車やバスといった公共の交通機関を利用するのが無難です。
安全運転を心がけることが何よりも大事
運転免許証を取得すると、自分も一人前に運転できるようになったと思い、つい運転中に気が緩んでしまいがちです。こうした気の緩みは、速度超過や一旦停止の無視といった、安易な違反を起こしてしまう原因につながります。違反や事故を起こして初心者講習を受けることになると、時間やお金が必要になってしまうため、注意が必要です。
違反や事故は起こしてしまったら、取り返しがつきません。「あのときにあんなことをしなければ良かった」と後悔しないためにも、日頃から安全運転を心がけ、違反や事故などを起こさないよう努めましょう。
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