自国の運転免許で海外でも運転できる?国際運転免許証(国外運転免許証)とは?

出張や海外旅行・留学などの機会に海外での車の運転を考えている中で、「どんな準備が必要なんだろう?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
あまり聞きなれない名称かもしれませんが、海外で運転する場合には「国際運転免許証(日本国内では“国外運転免許証”とも呼ばれる)」というものが必要になる場合があります。
この記事では、出張や海外旅行・留学などの機会に海外での車の運転を考えている方に向けて、国際運転免許証(国外運転免許証)の基本的な知識から取得方法、さらに国際運転免許証を取得した後に海外で運転する際の注意点まで、詳しく解説していきます。
自国の運転免許だけでは海外では運転できない
海外で運転をする際には、原則として自国の運転免許証だけでは運転することができません。これは日本人が海外で運転する場合も、外国人が日本で運転する場合も同様です。
国や地域によってどのような書類が必要になるのか、あるいはどのような手続きが求められるのかは異なりますが、ほとんどの国では、自国の運転免許証に加えて「国際運転免許証」や「外国運転免許証の翻訳文」などの追加書類が必要となります。
そのため、海外で運転を予定している場合には、渡航先の国や地域での運転に必要な条件を事前に確認し、必要な書類を揃えておくことが重要です。
日本の運転免許を所持する方が海外で運転する場合
日本の運転免許証を持っている方が海外で運転する場合、以下の3つの方法があります。
1.国際運転免許証(国外運転免許証)を取得する
これはもっとも一般的な方法で、国際運転免許証(国外運転免許証)の取得により、ジュネーブ条約加盟国(外部リンク:警視庁HP)での運転が可能になります。なお、運転する際は必ず日本の運転免許証と一緒に携帯する必要があります。
2.日本の運転免許証の翻訳文を用意する
台湾など一部の国や地域では、日本の運転免許証に公的機関が発行する翻訳文を添付することで、対象となる国での運転が認められます。ただし、この方法は対象となる国や地域が限られているため、事前に十分な確認が必要です。
3.現地の運転免許証を取得する
長期滞在する場合や、上記の方法では運転できない国では、現地で運転免許を取得する必要のある場合があります。なお、英国をはじめ、一部の国では日本の運転免許証を現地の免許証に切り替えることができる制度もあります。
参考:英国運転免許証への切り替え手続き | 在英国日本国大使館
海外の運転免許を所持する方が日本で運転する場合
海外の運転免許を所持する方が日本で運転する場合も、同様の3つの方法があります。
1.国際運転免許証を使用する
ジュネーブ条約に基づいて発行された国際運転免許証であれば、日本での運転が可能です。ただし、運転できる期間は、日本に入国した日から1年間、もしくは国際運転免許証の有効期限のいずれか短い期間に限られます。なお、日本に住民登録している方が出国後3ヶ月未満に再入国した場合は、その入国日からは運転できる期間として計算されないため注意が必要です。
2.外国の運転免許証に日本語の翻訳文を添付する
スイス・ドイツ・フランス・ベルギー・モナコ・台湾など、特定の地域の運転免許証を持っている方は、公的機関による日本語の翻訳文を添付することで運転が可能です。この場合も運転できる期間は、入国日から1年以内となります。
3.日本の運転免許証に切り替える
日本に長期滞在する予定がある場合は、外国の運転免許証を日本の運転免許証に切り替えることができます。ただし、外国の免許を取得後、その国に通算で3ヶ月以上滞在していたことを証明する必要があります。
参照:外国で取得した運転免許証を日本の運転免許証に切替えるには|警視庁
一部の国・地域では「翻訳証明書」があれば運転できる
一部の国や地域では、国際運転免許証がなくても、自国の運転免許証に翻訳証明書を添付することで運転が可能です。
例えば、アメリカのハワイ州、グアム、サイパンでは、日本の運転免許証に在アメリカ日本国大使館や総領事館が発行する「翻訳証明書」を添付することで運転できます。また、台湾でも交流協会(現・日本台湾交流協会)による中国語の翻訳文があれば運転が認められています。ただし、各国・地域によって翻訳証明書の発行機関や必要書類が異なるため、渡航先に応じて事前に確認しておくとよいでしょう。
なお、現地でレンタカーを利用することを考えている場合、レンタカー会社などが追加の書類を求める場合もあるため、事前に現地のレンタカー会社や交通当局にも確認しておくことをおすすめします。
国際運転免許証(国外運転免許証)とは?
国際運転免許証(国外運転免許証)は、1949年のジュネーブ条約に基づいて発行される運転資格証明書です。日本国内で発行されるものについては「国外運転免許証」と呼ばれることもあります。
国際運転免許証はすべての国で使えるわけではなく、ジュネーブ条約に加盟している国でのみ通用します。日本の運転免許証を多言語に翻訳した形式になっており、加盟国間で相互に運転資格を認め合うための重要な書類となっています。
国際運転免許証は単独では意味を持たず、必ず自国の運転免許証と併せて携帯する必要があります。そのため、海外で運転する際は、国際運転免許証と日本の運転免許証の両方を持参するようにしましょう。
日本の国際運転免許証(国外運転免許証)で運転できる海外の国・地域
日本で発行された国際運転免許証(国外運転免許証)は、ジュネーブ条約に加盟している国・地域で使用することができます。主な対象国・地域は以下の通りです。
〇ヨーロッパ地域
ヨーロッパでは多くの国で使用可能です。イギリス、フランス、イタリア、スペインなどの主要な観光地では、日本の国際運転免許証で問題なく運転できます。
〇アジア地域
韓国、タイ、フィリピン、マレーシアなどで運転が可能です。ただし、中国本土やインドネシア(バリ島を含む)では使用できないため注意が必要です。
〇北米・オセアニア地域
アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなど、主要な観光地のほとんどで運転できます。
なお、国によっては国際運転免許証の他に追加書類が必要な場合もあるため、渡航前に現地の最新情報を確認しておくとよいでしょう。
参照:ジュネーブ条約締約国等一覧|警視庁
日本の国際運転免許証(国外運転免許証)で運転できる車両
国際運転免許証(国外運転免許証)には、国際的に統一された5つの車両区分(A~E)が設けられています。これらの区分は、取得している日本の運転免許の種類に応じて記載されます。以下は区分ごとの運転できる車両、該当する日本の免許の一覧です。
区分 | 運転できる車両 | 必要な日本の免許 |
A | 二輪の自動車(側車付き含む)、身体障害者用車両、 空車状態で重量が400kg以下の三輪の自動車 |
大型自動二輪免許、普通自動二輪免許(AT限定・小型限定含む) |
B | 乗用車(運転者席のほかに8人分以下の座席)または、許容最大重量が3,500kg以下の貨物車。軽量の被牽引車を連結可能。 | 普通自動車免許(AT限定含む) |
C | 許容最大重量が3,500kgを超える貨物車。 軽量の被牽引車を連結可能。 |
大型自動車免許、中型自動車免許、 準中型自動車免許 |
D | 乗用車(運転者席のほかに8人分を超える座席)。 軽量の被牽引車を連結可能。 |
大型自動車免許、中型自動車免許 |
E | B/C/Dのいずれかの車両に、軽量の被牽引車以外の被牽引車を連結した車両 | 牽引免許 |
※軽量の被牽引車:許容最大重量が750kg以下の被牽引車を指します。
※許容最大重量:車両の運行可能な状態の重量と最大積載量の合計を指します。
日本で国際運転免許証を取得する条件
日本で国際運転免許証(国外運転免許証)を取得するには、以下の条件を満たしている必要があります。
1.有効な日本の運転免許証を持っていること
国際運転免許証は、現在所持している日本の運転免許証に基づいて発行されます。運転免許証が失効している場合や停止処分中の場合は取得できません。
2.日本国内に住所があること
住民基本台帳に記録されている必要があります。留学や海外赴任などで一時的に海外に住所がある場合でも、その事実が確認できれば申請は可能です。
3.取得目的が明確であること
観光やビジネスなど、海外で運転する具体的な目的が必要です。ただし、渡航予定が確定していなくても申請することはできます。
なお、取得条件を満たすために試験や講習の受講は必要ありません。これらの条件を満たしていれば、比較的簡単な手続きで取得することができます。
日本で国際運転免許証(国外運転免許証)の取得に必要な書類や費用
国際運転免許証(国外運転免許証)の取得申請には、以下の書類と費用が必要です。
〇必要な書類
・有効な日本の運転免許証
・申請用の写真1枚(縦4.5cm×横3.5cm、6ヶ月以内に撮影したもの)
・パスポート(未所持の場合は取得予定であることを説明)
・国外運転免許証交付申請書(窓口で記入)
※古い国外運転免許証をお持ちの方は、その国外運転免許証もお持ちください。
〇申請費用
申請手数料は2,350円です。この他に、必要に応じて写真撮影代が別途かかります。
手続きは運転免許試験場や運転免許センター、指定された警察署で行うことができます。運転免許試験場や運転免許センターでは即日発行が可能ですが、警察署で申請する場合は後日(2〜3週間後)の発行となることがあるため、余裕を持って申請するとよいでしょう。
参考:国外運転免許証取得手続(本人による申請)|警視庁
日本での国際運転免許証の取得申請先
国際運転免許証(国外運転免許証)の申請は、以下の3つの場所で行うことができます。
1.運転免許試験場
各都道府県にある運転免許試験場では、申請から発行まで当日中に手続きが完了します。比較的待ち時間も少なく、スムーズに取得できることが多いため、時間に余裕がない場合はここでの申請がおすすめです。
2.運転免許センター
運転免許試験場と同様に、その日のうちに国際運転免許証を受け取ることができます。
3.指定された警察署
最寄りの警察署でも申請できますが、すべての警察署で取り扱っているわけではありません。また、申請から発行まで数日から2~3週間程度かかることがあるため、早めに手続きを始めておくとよいでしょう。
なお、各申請場所によって受付時間が異なるため、受付時間を事前にホームページ等で確認してから訪問することをおすすめします。
日本での国際運転免許証(国外運転免許証)の取得・申請手順
国際運転免許証(国外運転免許証)の取得・申請手順は、以下のような流れで進みます。
1.事前準備
必要書類(運転免許証、写真、パスポート)を揃え、申請手数料2,350円を用意します。写真は申請前6ヶ月以内に撮影した証明写真(縦4.5cm×横3.5cm)が必要です。運転免許試験場などでも写真撮影は可能ですが、その場合は別途料金がかかります。
2.申請窓口での手続き
窓口で申請書を受け取り、必要事項を記入します。申請書には、氏名、住所、生年月日、運転免許証番号などの基本情報と、渡航予定国などを記入します。
3.書類審査と手数料支払い
記入した申請書と必要書類を提出し、係員による確認を受けます。書類に問題がなければ、手数料を支払います。
4.国際運転免許証の受け取り
運転免許試験場や運転免許センターであれば、その場で国際運転免許証が発行されます。警察署で申請した場合は後日受け取りに行く必要があるため、スケジュールに余裕をもっておくようにしましょう。
このように、手続き自体はそれほど複雑ではありませんが、混雑を避けるため、平日の午前中に訪れると手続きをスムーズに進めることができるでしょう。
国際運転免許証(国外運転免許証)に関する注意点
国際運転免許証(国外運転免許証)の取得・所有については、思わぬトラブルを防ぐために、以下のポイントをしっかり確認しておきましょう。
国際運転免許証(国外運転免許証)の有効期間
国際運転免許証の有効期間は、発行日から1年間です。この期間は更新できないため、1年を超えて運転が必要な場合は、再度新規で取得する必要があります。長期の滞在を予定している場合は、現地の運転免許への切り替えも検討するとよいでしょう。
なお、実際に海外で運転できる期間は、その国への入国日から1年間、または国際運転免許証の有効期限のいずれか短い方です。例えば、発行から6ヶ月後に入国した場合、残りの6ヶ月間だけが運転可能期間となります。また、同じ国に何度も出入国する場合は、最初の入国日が基準となることが多いため注意が必要です。
参考:国外運転免許証取得手続(本人による申請)|警視庁
国際運転免許証(国外運転免許証)を紛失してしまった場合
国際運転免許証(国外運転免許証)を紛失してしまった場合の対応は、紛失した場所や状況によって異なってきます。
〇日本国内での紛失の場合
日本国内で紛失した場合は、最寄りの警察署で遺失物届を提出した後、再度新規申請の手続きを行うことができます。悪用を防ぐため、運転免許試験場や運転免許センターにも紛失の旨を連絡しておくとよいでしょう。紛失した免許証が後で見つかった場合は、新しく発行された免許証を使用し、古い方は返納する必要があります。
〇海外での紛失の場合
海外で紛失した場合は、まず現地の警察署で紛失届を提出し、紛失・盗難証明書を受け取っておきましょう。同時に、在外公館(大使館や領事館)にも連絡を入れ、指示を仰ぐことをお勧めします。
なお、国際運転免許証は海外では再発行できないため、日本に戻ってから改めて再発行の申請する必要があります。そのため、海外滞在中は特に管理に気を付け、コピーを別に保管しておくなどの対策を取っておくとよいでしょう。
〇再取得の手続きについて
紛失した場合の再取得手続きは、基本的に新規取得と同じです。必要書類(運転免許証、写真、パスポート)と手数料を用意し、運転免許試験場などで申請を行います。この際、紛失届の受理番号や遺失届の控えがあれば、併せて提示するとよいでしょう。なお、以前の国際運転免許証の有効期限が残っていても、再取得した場合は新しい発行日から1年間が有効期間となります。
海外で運転する際に気を付けておきたいこと
海外で運転する際は、日本とは異なる交通ルールや道路事情が存在します。安全運転のためにも十分な知識の習得と運転時の注意が必要です。
海外と日本の運転ルール、道路事情の違い
〇基本的な交通ルールの違い
多くの国では右側通行が基本となっており、日本のような左側通行は少数派です。そのため、交差点での右左折時の感覚が大きく異なります。また、信号機の色や配置、道路標識のデザインも国によって異なることがあります。特に注意が必要なのは優先道路のルールで、国によっては日本より厳格に運用されているケースがあります。例えば、フランスでは右側から来る車に優先権があるなど、独自のルールを持つ国もあります。
〇道路事情の特徴
高速道路や一般道路の幅、路面状態、駐車場の広さなど、道路環境は国によって大きく異なります。
例えば、ヨーロッパの街中では道幅が非常に狭く、日本の道路幅と同じ感覚での運転は難しく感じることが多いでしょう。一方アメリカでは、片側3車線以上の広い道路が一般的で、交通量の多さや速度の側面からも、車線変更時により慎重な確認が必要となります。他にも、「一時停止の標識がない交差点でも完全停止が求められる」ような国もあり、安全運転のために、事前に現地の道路事情を詳しく確認しておくことが求められます。
〇運転マナーの違い
日本でも地域によってマナーの違いは見受けられますが、例えばイタリアでは、車間距離を日本より詰めて運転する傾向があるなど、海外でも国や地域によって独自の運転マナーが存在します。他にも、クラクションの使用頻度も国によって異なり、特にインドなどでは、日本よりも頻繁にクラクションが使用されます。
このような交通ルール、道路事情の違いを理解し、現地の運転スタイルに順応することで、海外での安全な運転が可能になります。慣れないうちは特に慎重に運転し、徐々に現地の運転感覚を掴んでいくとよいでしょう。
詳細な情報については、国土交通省の提供する【各国・地域における主要交通ルール対比一覧表】(外部リンク・PDF資料)も、ぜひ参考にしてください。
海外での運転時に携帯しておく書類
海外で運転する際は、万一のトラブルに備えて、以下の書類を必ず携帯しておきましょう。
分類 | 必要な書類 | 注意事項 |
必須の運転関連書類 | 日本の運転免許証、国際運転免許証、パスポート | 必ず原本を携帯する必要があります。万が一の紛失時のためにホテルなどにコピーを保管しておくと良いでしょう。 |
車両関連の書類 | レンタカーの貸渡契約書、車検証、 自動車保険証書、緊急連絡先カード |
これらの書類は通常レンタカー会社から提供されます。受け取り時に確認しましょう。 |
保険関連の書類 | 海外旅行保険証書、保険会社の連絡先カード、 クレジットカード付帯保険の案内 (加入している場合) |
トラブルに備え、すぐに確認できるようにしておきましょう。 |
海外でのレンタカー利用時の注意
海外でレンタカーを利用する際は、国際運転免許証とパスポートの両方の所持が必須です。予約時だけでなく運転中も常時携帯しておくようにしましょう。
また、安全面やトラブルへの対策として、以下のような保険への加入をしておくこともおすすめします。
・自車両損害保障制度(CDW):借りた車を自分が傷つけてしまった場合の保険
・盗難保険(TP):車が盗まれた場合の保険
・第三者傷害保険:事故で相手にケガをさせたり、相手の車を傷つけた場合の保険
レンタカーを借りる際、こういった保険を含むプランを選ぶことで、万が一の場合に備え、安心して運転できるでしょう。
まとめ|海外で運転をするなら国際運転免許証(国外運転免許証)を取得しよう!
この記事では、国際運転免許証(国外運転免許証)の基本的な知識から取得方法、さらに海外で運転する際の注意点まで詳しく解説してきました。
国際運転免許証は海外で運転するために必要不可欠な書類であり、比較的簡単な手続きで取得できますが、使用する際は有効期限が1年間という制限や、使用可能な国・地域が限られていることを理解しておく必要があります。
また、実際の運転にあたっては、国によって交通ルールや道路事情が大きく異なるため、事前の現地情報の確認と安全運転のための準備が欠かせません。
海外での運転を検討している方は、渡航先の国での運転に必要な条件を確認し、余裕を持って国際運転免許証を取得することをおすすめします。そして、現地の交通ルールをしっかり理解した上で、安全な運転を心がけましょう。
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