普通二輪なしでも大型二輪は取得できる?難しい理由とは
大型二輪免許は満18歳から取得できる免許です。大型二輪免許を持っていれば、排気量400cc以上の大型バイクから、中型バイクや小型バイクまで運転できます。教習所によっては普通二輪免許を持っていなくても、大型二輪免許を取得することも可能です。ここでは、普通二輪免許を所持していない状態で大型二輪免許を取得する場合の注意点、さらには、所持している免許による教習時間や費用の違いなど、大型二輪免許取得にあたって知っておきたい知識を紹介します。
免許によって取得難易度は変わる?
四輪車の運転と二輪車の運転で大きく異なるのは、クラッチ操作が必要な点と、低速でバランスをとらなければいけない点です。普通自動車も普通二輪車も、ATとMTがあります。ATなら自動的にギアチェンジが行われるため、クラッチを操作する必要はありません。基本的にはハンドルとアクセル、ブレーキを操作するだけで運転できます。一方、MTは手動でギアチェンジの操作をしなければいけません。クラッチとは簡単にいえば動力を伝達するための装置のことです。アクセルを踏むとエンジンに動力が伝わり、車輪が動きます。車輪を動かすのに必要な量の動力を送るのがクラッチの役割です。
そのため、クラッチの操作を誤るとエンジンストールが起きてしまいます。エンジンストールはエンストとも呼ばれ、エンジンが止まってしまう現象です。さらに、MTはギアを変える操作も自分で行う必要があります。たとえエンストを起こしても、四輪車ならその場に立ち往生するだけです。落ち着いて操作すれば、再びエンジンを動かせるでしょう。しかし、二輪車の場合はエンジンが止まった瞬間に、バランスを崩し転倒してしまうおそれがあるのです。
また、二輪車は低速で走行するとバランスを崩しやすいという特徴もあります。経験がない人にとって、低速でバランスを保ちながらギアやクラッチを操作するのは、かなり難易度の高い作業となるでしょう。四輪車の場合、一般的な乗用車はほとんどがAT車で、MT車はスポーツカーやバス、トラックなど特殊な車両に限られます。MT免許を取得しても、MT車に乗る機会がほとんどないという場合もあるでしょう。一方、二輪車の場合はMT車よりもAT車のほうが少ないです。二輪車のATとはいわゆるスクーターのことで、普通二輪AT免許を取得した場合、スクーターにしか乗ることができません。しかし、MT免許を取得すれば、バイクにもスクーターにも乗れます。
普通免許を持っている場合は?
二輪車の免許を取得する難易度は、クラッチ操作の経験が有るか無いかで大きく変わります。普通免許を持っている人ならAT限定の有無も影響するでしょう。MT車で教習を受けている人なら、クラッチやシフトの操作がどのようなものかを知っているため、二輪車の運転もある程度有利に進められます。ただし、四輪車のMT免許を持っていれば、二輪車のMTにもすぐに慣れるとは限りません。四輪のMTは足でクラッチペダルを踏み、手でシフトレバーを操作してギアを変えます。一方、二輪のMTは左手でクラッチレバーを握り、左足でシフトを操作するのが一般的です。
二輪は両手両足でブレーキやクラッチ、シフトの操作を分業できます。しかし、四輪は手でハンドルとシフトを操作し、右足でアクセルとブレーキ、左足でクラッチを操作しなければいけません。そのため、人によっては二輪よりも四輪のほうが、操作が難しいと感じる場合もあるでしょう。しかし、普通自動車限定ATの免許しか持っていない人の場合、クラッチ操作を身につける段階で手こずる可能性があります。大型二輪でも普通二輪でも、クラッチを操作できなければ、発進させることもできません。
ATならエンジンをかけた後、アクセルを踏めばすぐに発進できます。しかし、MTの場合はエンジンをかけた後、まずはギアを1速に入れなければいけません。二輪MTならクラッチレバーを握ったまま、左足のチェンジペダルを押し上げればギアが変わります。ギアを1速に入れたら、右手のアクセルを少しひねり、エンジンの回転数を上げながらクラッチレバーを少しずつ離すことで、徐々に車体が走り出すのです。そのまま5メートルほど走ったら、完全にクラッチレバーを離しても走行できます。しかし、走り出した後はブレーキとアクセルの操作だけをすれば良いわけではありません。走行中も、少しずつ加速しながらギアを2速から3速、4速へとシフトアップしていく必要があります。このように、二輪は走り出してから停止するまで、常に複雑な操作が求められるのです。
免許を何も持っていない場合は?
乗りたいバイクがあらかじめ決まっていて、運転するために大型二輪免許が必要になる場合もあるでしょう。しかし、運転の経験がない状態で教習所へ行くと、普通二輪免許からの取得をすすめられるケースが多いです。教習所によっては、先に普通二輪免許を取得しないと、大型二輪免許の教習を受けられないこともあります。実際に、サーキットで走行経験がある人や、私有地でバイクを乗っていたという人でもない限り、いきなり大型二輪を運転するのは難しいでしょう。クラッチやシフト操作など、基本的な運転の方法は普通二輪でも大型二輪でも、大きな違いはありません。異なるのは車体のサイズとエンジンの馬力です。
大型二輪の方が車体が大きい分、転倒した際に起こしたり、エンジンをかけずに押し歩いたりするのは、普通二輪よりも困難でしょう。特に、身長が低い人や力の弱い女性は、教習時に苦労する可能性が高いです。先に普通二輪の教習を受け、ある程度二輪の扱いに慣れておいた方が、大型二輪の免許を取りやすくなります。また、教習時間が少なく済むのも、普通二輪免許を取得するメリットの1つです。運転免許を持っていない状態で大型二輪を取得する場合、36時限の技能教習を受けなければいけません。
一方、普通二輪を取得するには、19時間の教習が必要です。さらに、大型二輪を取得するには、12時限の教習が必要と規定されています。追加教習がなければ、合計31時限で普通二輪免許と大型二輪免許を取得できるのです。つまり、最初から大型二輪を取得するよりも、教習を受ける時間が5時間ほど少なくなります。
普通二輪と大型二輪の扱い方の違いとは?
車体のサイズやエンジンのパワーの他にも、普通二輪と大型二輪にはさまざまな違いがあります。まず、普通二輪で乗れる小型バイクや中型バイクは車体が小さく軽量なので、取り回しが比較的容易です。小回りも良く、短距離の移動や街乗りで活躍するでしょう。一方で、低速トルクも大型二輪より薄いので、エンストしやすいというデメリットがあります。低速トルクとは、簡単にいえばエンジンが止まっていたり、回転数が低かったりする状態から加速する力のことです。低速トルクが分厚いほど加速しやすく、低速でも安定した走りができます。さらに、小型や中型のバイクは振動が高く、ギアチェンジが多くなるため、運転手が疲れやすいのも特徴です。排気量が小さいため加速力も低く、軽量なので安定性もありません。
大型二輪を取得すると乗れる大型バイクは、比較的重く大柄な車体が多いので、取り回しが難しいです。小回りも利きにくく、エンジン音が大きいので、街中を走るにはあまり向いていません。しかし、低速トルクが厚く、出力にも余裕があるので、エンストしにくく運転手への負担も少ないです。さらに、排気量が大きくエンジンのパワーもあるので、加速力や安定性が高いというメリットもあります。普通二輪免許を取得した場合乗れるのは排気量が400cc以下の中型バイクや小型バイクのみです。大型二輪免許を取得すれば、大型バイクにも中型以下のバイクにも乗れます。街乗りなら中型、長距離ツーリングや高速道路を使った移動なら大型というように、目的に合わせて車種を変えると良いでしょう。
教習時間の目安にも違いがある?
大型免許の取得方法について検討する際は、教習時間の違いにも注目しましょう。免許の取得に必要な教習時間は、道路交通法により定められています。免許を持っていない人が大型免許を取得する場合、技能教習36時限と学科教習26時限の受講が必要です。普通車免許を持っている場合は、技能教習31時限と学科教習1時限を受講することになります。既に普通二輪免許を取得している場合、学科教習を受ける必要はありません。技能教習31時限を受けるだけで、大型二輪免許を取得できます。ただし、これは追加教習がなかった場合の目安です。追加教習を受けることになった場合は、さらに時間がかかります。また、教習を終えても修了検定を通過できなければ、免許取得までの期間は延びるでしょう。
四輪車の修了検定は、路上に出て決まったコースを回り、採点が行われます。一方、二輪車の修了検定は教習所内で行うのが一般的です。スラロームや一本橋、急制動など、技能教習で行った課題ができているかを基準に採点します。修了検定の内容は、普通二輪と大型二輪で大きな違いはありません。しかし、細かな点において合格の基準が異なるので注意しましょう。
たとえば、一本橋という平均台のように真っ直ぐな道を低速で渡るという課題があります。普通二輪なら7秒以上、大型二輪なら10秒以上かけて渡れば合格です。走行中に脱輪や転倒、エンストなどを起こした場合はもちろん、既定よりも短い時間で渡ってしまった場合も不合格です。一本橋の他にも取り回しやブレーキングなど、初心者が失敗しやすいポイントはいくつかあります。技能教習の段階でコツを確認しながら、1つ1つの課題を焦らずクリアしていくことが大切です。
費用を比較してみよう!
大型二輪免許を取得するために必要な費用は、取得方法によって異なります。まず、教習所に通う際は、通学か合宿かを選ばなければいけません。教習所が近所にある人や、通勤や通学をしながら免許を取得したい人なら、通学を選ぶことが多いでしょう。取得費用は教習所により異なりますが、既に普通自動二輪免許を持っている場合の相場は、通学で12万円ほどです。所持免許がない場合は、24万円ほどの費用が必要になります。長期休暇を利用して免許を取得する予定の人など、まとまった時間がとれるのであれば、合宿免許を選ぶことで取得費用を抑えられます。参加する時期や教習所の選び方によっては、シングルルームで約10万円など、大幅に費用を節約することも可能です。
合宿免許を選択するメリットは、費用だけではありません。合宿免許は集中して教習を受けられる分、短期間で修了できます。通学のように教習の予約を取る必要もありません。通学免許の場合、特定の曜日や時間帯に予約が集中し、思うように教習を受けられない可能性があります。すると、運転技術が向上せず、なかなか修了検定を通過できません。結果として、何度も再試験を受けることになり、免許取得にかかる時間もお金も膨れ上がってしまいます。
中型二輪と大型二輪をセットで取得する場合
大型二輪免許を確実に取得するには、まず普通二輪を取得してから大型二輪へとステップアップしたほうが確実です。さらに、取得費用を節約するためにも、普通二輪と大型二輪の免許をセットで取得したいと考える人もいるでしょう。しかし、合宿免許で普通二輪と大型二輪をセットで受けられる教習所はありません。普通二輪の教習を終えたら、免許センターで免許証を発行してもらう必要があります。そのため、普通二輪と大型二輪の教習を続けて受けることはできません。合宿免許で普通二輪と大型二輪を取得したいのであれば、まずは普通二輪の免許を取得してから、改めて大型二輪の合宿免許に申し込みましょう。
できれば普通二輪免許取得から、なるべく間を空けずに大型二輪の教習を始めるのが理想的です。あまりに時間が経ってしまうと、せっかく普通二輪の技能教習で身につけた運転技術を忘れてしまう可能性があります。ただし、免許取得後にすぐバイクを購入できる場合は、ある程度中型バイクの運転に慣れてから大型二輪の教習を受けるのも良いでしょう。
事前に教習所に確認しよう!
最初から大型二輪免許の取得を視野に入れている場合、難易度は上がりますが、いきなり大型二輪の教習を受けることも可能です。免許を所持していない人や、普通自動車免許を持っている人を対象とする教習所も存在します。一方で、普通二輪免許を取得していないと、大型二輪の教習に参加できない教習所もあるので、事前に確認しておきましょう。また、教習では上手に運転できても、修了検定の際に緊張して失敗してしまうケースも多いです。万が一、再試験になっても安心して教習を続けられるように、保証がついているプランを選びましょう。
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