19歳から大型・中型免許の取得が可能に!2022年5月の法施行でどう変わった?
2020年の道路交通法改正(2020年6月10日公布)により、トラックの大型・中型免許や、バス・タクシーのドライバーに必要な第二種免許を19歳から取得できる「大型免許等の受験資格の特例」が設けられ、2022年5月13日に施工されました。
今回は「大型免許等の受験資格の特例」について、詳しくご紹介します。
「19歳以上で普通免許の保有歴1年以上」が受験資格の条件に
法施行前の受験資格は、大型免許や第二種免許の場合「21歳以上かつ、普通免許の保有歴3年以上」、中型免許の場合「20歳以上、かつ普通免許の保有歴2年以上」となっていましたが、2022年5月13日以降は、いずれも「19歳以上、普通免許等(普通免許・準中型免許)の保有歴1年以上」という受験資格緩和の特例が設けられました。
背景にあったのは、深刻なドライバー不足。物流や交通を支えているドライバーの高齢化が加速化する中で、企業の採用や若者の職業選択の幅を広げることを目的にしています。一方で、事故発生率は若年層の方が高いことから、今回の特例に合わせて「若年運転者期間」も設けられました。こちらについても、記事の後半で触れているので、参考にしてください。
法改正の対象になった「大型免許等」とは?
はじめに、今回の法改正の対象となった免許の種類について説明します。
「大型免許」とは、大型自動車に分類される車を運転できる免許のことで、正式名称を「大型自動車第一種免許」「大型自動車第二種免許」といいます。
「大型自動車」とは、車両総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上、あるいは乗車定員30人以上の自動車です。代表的なバスやトラックのほか、ダンプカー・タンクローリー・ミキサー車なども該当します。大型自動車を日本の公道で運転するには、大型自動車第一種免許が必要です。
「中型免許」は、2004年に道路交通法が一部改正されたことで生まれた免許制度です。従来の「普通自動車」と「大型自動車」の区分の間に加わったもので、車両総重量7.5トン以上11トン未満、最大積載量4.5トン以上6.5トン未満、あるいは乗車人数11人以上29人以下などの条件が定義されています。
運送業界はもちろん、食品業界や建設業界といった幅広い業界で活躍している4トントラックや6トントラックは、中型免許で運転することができます。ほか、マイクロバス、ゴミ収集車、消防車などを運転できるのも中型免許の強みです。
大型自動車・中型自動車、そして、タクシーなどの普通車の場合も、旅客を乗せる業務として運転する場合は「第二種免許」が必要になります。今回の法改正で第二種免許の受験資格も「19歳以上、普通免許等(普通免許・準中型免許)の保有歴1年以上」という特例が設けられました。
最速で大型免許を取るにはどうする?特別な教習を受けることが条件
「大型免許等の受験資格の特例」は受験資格要件引き下げのための特例です。「19歳以上で普通免許もしくは準中型免許を1年以上保有している」という条件に加え、希望する免許の教習を受講する前に、年齢や経験に合わせた特例教習を受講する必要があります。
教習の内容や時限数は、下記3つのパターンによって異なります。
- 運転経験が3年未満(中型の場合は2年未満)の人→経験課程29時限以上
- 年齢が21歳未満(中型の場合は20歳未満)の人→年齢課程7時限以上
- その両方に該当する人→年齢・経験課程36時限以上
上記の教習を受講した上で、希望する免許の教習を受講しなくてはいけません。
取得したいのが大型免許なのか中型免許なのかによっても変わってきますが、免許を1年以上保有している19歳の人が大型免許を取得したい場合は、年齢・経験課程の修了が必須で、合計36時限以上(座学5時限以上、技能21時限以上)の受講が要件となります。主な内容は、自己制御能力や危険予測・回避能力を養成するものです。
免許取り消しの可能性も!?若年運転者期間の設定
記事の冒頭で若年層の事故率の高さについて触れましたが、その安全対策として、特例で免許を取ったドライバーには「若年運転者期間」が設定されます。
21歳(中型免許は20歳)に達するまでの間に、基準に該当する違反を行った場合は、若年運転者講習の受講を義務付けられます。受講しなかった場合および受講後に再び基準に該当する違反を行った場合は、特例を受けて取得した免許を取り消されます。
せっかく取得した免許を失わないためにも、安全運転を心がけましょう。
おわりに
今回は、2022年5月13日に施工された「大型免許等の受験資格の特例」について解説してきました。大型免許等を取得すれば職業選択の幅が広がります。さまざまな現場で活躍できるプロフェッショナルを目指して、免許の取得を検討してみてはいかがでしょうか?
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